ADHDの特性と反抗性挑戦障害の違い、対処法を詳しく解説!
「反抗期になったらどうしたらいいの?」
「人間不信も反抗期なのかなぁ…」
こんなことでお悩みではありませんか?
ADHDを抱えるお子さんの対応は難しく、大人には常に反抗的な態度を取る子もいます。
それは特性によるものなのですが、親御さんはつい「最近、反抗期なのかな?」と反抗期と同じ対応を取ってしまい、事態を悪化させてしまうことも。
お子さんにしてみると自分では制御できないことなのに怒られてしまうと、親には心を閉ざしてしまい、その後、信頼関係を取り戻すのは非常に大変。
そこで今日は、ADHDを抱えるお子さんの反抗期とはどのようなものかを解説し、対応方法をお伝えしていきます。
ADHDの反抗期の特徴
ADHDの反抗期の特徴は、そもそもADHDが反抗期に見える特性を持っていることを理解するところから始めましょう。
というのも、「言うことを聞かない」「落ち着かない」等、さまざまな面で反抗期のお子さんそのままの態度を取っているからです。
ただ、これらはADHDの特性に十分当てはまります。
これが、反抗期のお子さんとADHDを抱えるお子さんへの対応方法を間違えてしまう原因にもなるのです。
ですから、まずは反抗的に見えるADHDの特性を確認しながら、実際にADHDを抱えるお子さんが反抗的になった場合の様子を確認していきましょう。
反抗的に見えるADHDの特性
反抗的に見えるADHDの特性は次の通りです。
● 言うことを聞かない
● 思ったことを口にする
● 頑固である
それぞれ解説していきます。
言うことを聞かない
反抗的に見えるADHDの特性の一つ目は、言うことを聞かない点です。
親御さんが「〇〇をして」と指示しても集中力が続かず、いつの間にかテレビを見ていて、「何やってるの!?」と叱ってしまうことはよくあります。
こういった事が続けば、当然、「うちの子は親の言うとこなんか全然きかない子だから」という認識を持ってしまいます。
ですが!
この行動はADHDによくある特性であり、衝動性や多動性が原因なのです。
より詳しくお伝えすると、
● 衝動性:〇〇したい!と思うと理性で歯止めが効かなくなる
● 多動性:動いていないと落ち着かない
このような特性です。
とくに掃除をしていたのにテレビを見たという事例では、衝動性が強く働いてしまうと推測されます。
このように、ADHDの特性から、【言うことを聞かない子に見えている】だけで、反抗期とは言えません。
思ったことを口にする
また思ったことを口にするのもADHDの特性の1つです。
思ったことを口にするというのは、親御さんに対して結果的に失礼な言葉をぶつけてしまうだけで、反抗しようとして口に出しているわけではありません。
他にも、お子さんが話したいことを遠慮なくしゃべり続けてしまう特性もあります。
上記の両方がお子さんに見られる場合には、反抗期ではなく、ADHDの特性だと考えてもいいでしょう。
頑固である
最後の特性は頑固である点です。
一見するとフラフラと行動しがちで、頑固というよりも軟弱といったイメージを持たれることも多い特性ですが、好きなものにはとことん熱中し、過集中になってしまいます。
具体的な例としては、ゲームに熱中しすぎて親御さんの言葉を聞いていない…と言うよりは「耳に入っていない」事例などは、誰しも経験があるのではないでyそうか?
この特性はASD(自閉スペクトラム症)にもあり、逆にASDを抱えるお子さんは、そもそもの特性として興味の偏りや好きなものへの集中があげられます。
つまり、親御さんの言うことを【聞かないのではなく、耳に入っていない】だけなので、一般の反抗期における態度とは異なる点を覚えておきましょう。
そもそもADHDには反抗的に「見える」特性がある
ここまでADHDが反抗期のように見える特性をお伝えしてきましたが、これらはすべて「反抗的に見える」特性なだけで、お子さん自身も反抗したくてやっている態度ではありません。
それでは逆に、反抗期とはどのようなものかという点を、次の項目で確認していきましょう。
反抗期と考えられるチェックリスト
反抗期とは発達段階において、他人、とくに大人や親御さんからの指示に対して拒否したり、抵抗したりすることを指します。
ADHDを抱えるお子さんの「反抗的に見える」態度よりも明確に、抵抗感をあらわす言動や行動になるのが特徴的です。
ADHDのお子さんの態度や行動としては、集中や不注意によって無意識に言うことを聞かないといったことが多いのですが、反抗期の場合には、明確な意思を持って反抗されると考えましょう。
とはいえ、反抗期は大人から自立したいと考える人間の自然な発達段階なので、反抗期がないのも問題です。
そのため、反抗的な態度を取ることも成長に必要なことと考え、受け入れてあげるようにしましょう。
時期
反抗期は、一般的に2回起こるといわれています。
一度目は幼児期、二度目は思春期と呼ばれる、中学生から高校生段階となっています。
もちろん明確な時期が決まっているわけではないので、いつ頃反抗期になるかを予測するのは難しい場合もあります。
どちらの時期も反抗期としては有名ですが、思春期に来る反抗期ほど、イメージ通りの反抗期になります。
幼児期の反抗は「イヤイヤ期」として、お母さんにはおなじみのことなので、懐かしく思い出されますね。
そこで次の項目では、幼児期の反抗期の態度を含め解説します。
態度
幼児期の反抗期の態度は、イヤイヤ期といわれるほど何に対してもイヤといってしまいます。
イヤという言葉を使いながら、自分が思い通りにならないことがあるとスネてしまいテコでも動かなくなる場合もあります。
これは自我の発達によって、お子さん自身の思い通りにならない現実を受け入れていく発達段階です。
続いて思春期の反抗期における態度は、「暴言を吐く」「暴力的なる」といったものです。
先ほどもお伝えしたように、イメージ通りの反抗期といっても差し支えないでしょう。
この態度がどのようなものなのか、以下の項目ではより詳しくお伝えしていきます。
暴言を吐く
思春期の反抗期における態度・行動の中で、親御さんを困らせてしまうものの1つに「暴言を吐く」があります。
暴言を吐くとは、ここで事例をあげるのもはばかられるような言葉を親御さんや目上の方に向かって言ってしまうことです。
ただ注意したいのは、学校も社会も不条理に満ちた、正論などなにも存在しないヘンテコリンな世界であり、お子さんが「暴言を吐きたくなるのは正義感」の場合もあります。
ですので親御さんはそれを見極め、最低限のマナーを諭していく必要もあります。
目上の人に反抗する
暴言を吐くといった行動の他に、目上の人に対して反抗するお子さんも、思春期の反抗期には多いです。
とくに親密な関係になっている目上の人に対して反抗するお子さんが多く、学校の先生や習い事の先生には真面目に従うものの、親御さんや親類の方には強く当たってしまいます。
つまり反抗するのは心を許している証拠でもあるのです。
もちろん、目上の人に対して全般的に反抗するといった態度に出るお子さんもいます。
この態度に関しては先ほどの「お子さんの正義感の方が正しいのかどうか?」を見極め、お子さんが正しいと思えば先方に親御さんが「無礼な態度はあやまるが、うちの子が言っていることも正しい」と言うべきです。
お子さんの論理がめちゃくちゃであれば、先方に謝りお子さんを指導していきましょう。
暴力的になる
また全体的に暴力的になる点も思春期の反抗期における態度・行動といえるでしょう。
「物に当たってしまう」「親御さんに暴力をふるってしまう」お子さんも中にはいます。
ただ、暴力に関しては反抗期であっても、他のお子さんや目上の人に対してふるってしまうと明確な犯罪行為です。
もちろん精神的な不安定さからくるものなので、暴力的な素振りを見せたら、詰問するのではなく、一旦話を聞いてあげることを意識しましょう。
逆に叱ってしまうと余計に反抗的になってしまう可能性がありますし、お子さん自身もなぜ暴力を振るうのかがわからなくなっている可能性もあります。
そのため、受け入れることからスタートし、毅然とした態度で暴力はダメという指導も行ってください。
ただし親御さんが暴力をふるうご家庭では仕方のないことなので、親御さんの暴力、暴言ぐせを治すのが先決です。
ADHDと反抗期の関係性
ADHDのお子さんであっても反抗期は当然のようにあらわれますが、ADHDを抱えるお子さんの中でも数十%にあたる確率で、反抗挑戦性障害に陥ってしまう可能性があります。
とくにADHDを抱えるお子さんは、特定の方に対してのみ反抗的な態度を取ってしまうという傾向があります。
この状態が長く続いているのを放置してしまうと、特定の方だけでなく周囲の大人全員に反抗的な態度を取ってしまい、社会生活に不都合が生じてしまいます。
これには反抗期とともにADHDの二次障害と考えられる人間不信症と合併が考えられるので、治療が必要になってきます。
ただし何度も書きますが「親が周囲の人間を信用していない」「誰かの悪口ばかり言っている」「社会的ルールを守らない」のであれば、当然、子どももそう育つので、障害ではなくご家庭の問題です。
ADHDと反抗挑戦性障害との関係性
では、ADHDと反抗挑戦性障害との関係性を見るにあたって、まずはこの障害がどのようなものかを確認していきます。
その後、なぜADHDと反抗挑戦性障害と関係があるのかを見ていきましょう。
反抗挑戦性障害とは
まず反抗挑戦性障害の定義を見ると、次のようになります。
否定的、反抗的、不服従の行動を繰り返し起こす病気で、多くの場合、権威のある人物が対象になります。
反抗期という症状は多くの親御さんも聞いたことがあると思いますが、反抗挑戦性障害となると聞いたことさえない方も多いですよね。
少し定義が難しいので、もう少し簡単に言い換えると、恋人や友人にも反抗的に当たってしまう可能性のある障害だといえます。
この症状が数年続いてしまうと、周りの方と疎遠になってしまい、余計に反抗挑戦性障害の症状も悪化するといわれています。
ただし同じような特性を持つ人間とは、一見仲良くできたりします。
でもお互い「なんにでも反抗的」「ささいなことに文句を言う」「酷い言葉で何かの悪口を言う」「誰も信用していない」状態なので、反抗的、暴力的、威圧的な態度、対応が増えていくばかりなので、障害の症状はさらに悪化の一途をたどります。
反抗挑戦性障害と合併する可能性のある症状
反抗挑戦性障害と合併する可能性が高いのが、次の2つの症状(障害)です。
● 素行症
● ADHD
それぞれどのように合併するかをお伝えしていきます。
素行症
素行症とは、人に暴力を振るう、盗みを働くといった一般的に社会悪とされる行動を行ってしまう病状です。
反抗挑戦性障害の場合、初期段階では親しい目上の方に対する反抗的態度が継続しますが、症状が続くにつれて、このような素行症との合併も見られるようになります。
ただし子どもは親や周囲の大人を見て育つので、親がそうなら当然、子どももそうなります。
この場合は障害とは言えず、環境のせいでそう育ったと言うことです。
続いてはADHDを抱えているお子さんも反抗挑戦性障害に悩まされる可能性があります。
ADHDを抱えているお子さんは幼少時から反抗挑戦性障害を発症するといわれており、およそ2〜5割といった高い確率があります。
ADHDは先天的(生まれながらにして持つ)障害のため、反抗挑戦性障害はADHDの後に発症するものだと考えましょう。
ADHDを抱えるお子さんは加齢するごとに合併する可能性が高まる
ADHDを抱えるお子さんがなぜ反抗挑戦性障害を抱えてしまうのかというと、ADHDの二次障害と考えられる人間不信があります。
ADHDに限らず発達障害を抱えると、周りの発達段階と比べて物事ができず「自分はダメなんだ」と自己肯定感が低くなります。
また周囲の理解が得られず、お子さんにしてみると理不尽な扱いをさんざん受けてきた結果の場合もあります。
その中で親御さんがお子さんを受け入れない態度を取ってしまうと、余計に人間不信を促してしまい、周りの方を信じられなくなってしまいます。
結果、周りの目上の方に当たり散らす症状が長続きする、反抗挑戦性障害となるのです。
この傾向は加齢が進むと、さらに社会から理不尽な扱いを受けることが増え人間不信も悪化するので、合併する可能性が高まります。
ADHDと反抗挑戦性障害が合併したときの症状
ではADHDと反抗挑戦性障害が合併したときの症状には、どのようなものがあるかというと次の通りです。
● 人間不信的行動
● 家族との喧嘩・衝突
● 他人とのコミュニケーション障害
このように段階を経るごとに学業やコミュニケーションなど、社会的な活動に対して障害が発生してきます。
人間不信の段階であれば、まだお子さん自身の問題で済みますが、その内容がエスカレートし家族から他人に移行する前に早期の治療を行わなければなりません。
ADHDと反抗期・反抗挑戦性障害の関わり方
ここまでADHDのお子さんと反抗挑戦性障害が合併したときの症状を見てきましたが、親御さんはお子さんに、どのような態度で関わっていけばいいのかを以下では解説していきます。
反抗期の関わり方
一般的に考えられる反抗期の関わり方は次の通りです。
● お子さんに必要以上干渉しない
● お子さんの味方であることを伝える
● 常に見守る
とくに反抗期が反抗挑戦性障害につながる要因に、人間不信的行動がある点に注意しましょう。
この点に注意すれば、まず親御さんがお子さんの味方になってあげる必要がある点に気付けるはずです。
お子さんに必要以上干渉しない
ADHDを抱えるお子さんが反抗期になった場合の関わり方の一つ目は、お子さんに対して必要以上に干渉しない点です。
干渉とは、〇〇しなさいなどの命令や指示を伝えることで、必要最低限の社会マナーを伝える必要はありますが、親御さんの言いなりにしてはいけません。
お子さんの味方であることを伝える
またお子さんの味方であることを常に伝えるのも徹底しましょう。
というのも、先ほどもお伝えしたように、ADHDを抱えるお子さんは常に周りとの比較で精神的にストレスを抱えている可能性があるからです。
たとえば、「お母さんはあなたのことをすごいと思っている。そんなお母さんはヘンかな?」と自信を失った時に伝えてあげるだけでも、お子さんは救われます。
常に見守る
最後は言葉で伝えながら、常に見守ることです。
見守るとは手助けしてあげたい状況下であっても、生命に関わる出来事が起きない限り、手通り足通り教えるのではなく、まずは任せてみることを指します。
これは教えるよりも難しいですが、自立しようと反抗期になっているお子さんに対して叱ったり指示したりするのは、できるだけ止めておきましょう。
反抗挑戦性障害の関わり方
ここまで反抗期への関わり方をお伝えしてきましたが、反抗挑戦性障害への関わり方は異なります。
というのも、反抗挑戦性障害はれっきとした病名だからです。
そのため、専門医に必ず相談して治療を行うのが先決でしょう。
とくに反抗期かなと感じた頃には、人間不信の段階から周りへの攻撃に切り替わってしまっているため、症状が進んだ状態となります。
そのため、早期に治療を開始し社会生活をきちんと送れるようにしてください。
繰り返しますが親御さんがそういう言動を取っているのであれば、それを棚に上げてお子さんを病気にしないようにしましょう。
ADHDの反抗期は反抗挑戦性障害を併発する恐れも。親御さんは自分の言動に注意しよう!
ADHDを抱えるお子さんは、数十%の確率で反抗性挑戦障害に発展する可能性がある点を覚えておきましょう。
この障害を抱えたまま歳を重ねると、目上の方だけでなく恋人や友人にもお子さんは危害を加えてしまい、家庭をめちゃくちゃに壊します。
そのため反抗挑戦性障害の疑いが強い、つまり反抗期と考えられる行動・態度が長い間続いている場合には、早期の治療をしてください。
詳しい検査が必要にはなりますが、遺伝子がすでに傷ついている可能性もあります。
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